青梅線中神駅北口に「アンポン bake & drip(ベイクアンドドリップ)」(昭島市中神町)がオープンして3カ月がたった。
フランス仕込みの焼き菓子たち。店のスペシャリテは「ザクザク食感」のタルト
同店は兄妹で営む焼き菓子とコーヒーの店。カウンターには、タルト、マフィン、パウンドケーキ、ブラウニー、レモンケーキ、チーズケーキなどの約10種類の焼き菓子が並び、テークアウトのほか、店内のカフェでフェアトレードコーヒーと共に楽しめる。
メニューは焼き菓子(300円~500円)、ハンドドリップコーヒー(600円)、カフェラ・テ(480円)、ハウスワイン(500円)など。コーヒーは、パプアニューギニアの自生のコーヒーを日本に流通させる「WANTOKプロジェクト」によるフェアトレードのスペシャルティコーヒーで、深いり・中いり・ブレンド・デカフェから選べる。
店主で兄の石丸智浩さんは大学卒業後、不動産業界から「カフェをゼロから立ち上げたい」と「星野リゾート リゾナーレ熱海」(静岡県熱海市)に異業種転職。ホテルの開業から関わり、カフェ部門を担当。リゾートにあるツリーハウス内のカフェ立ち上げなどに携わった。
妹の小山かおりさんは新卒で「カフェカンパニー」勤務やパティスリーの立ち上げに関わり、フランス留学し現地のパティスリーで修業。帰国後、「ルブルターニュ」での勤務を経て出産。現在は、2人の子育てをしながら同店の焼き菓子を担当する。
石丸さんの住まいは小田原市、かおりさんは中野区在住。全く接点のなかった昭島市中神で開業した。2人には学生時代から「兄妹でカフェを開きたい」という夢があり、子育てのしやすい立川付近への移住も考え、中野~立川間で物件を探していた。ちょうどそのころ、ホテルを訪れた大家さんとの雑談の中で夢の話をしたところ「応援するよ」と現在の物件を紹介されたという。
全く知らない土地でのスタート。始めはマーケティング目線でターゲット、周辺、駅の利用客数などを調査し、「いける」と決心し開業して3カ月。「思った以上にお客さんが来てくれている。青梅線沿いのあきるの市など遠方からも来てくださり、ファンにも恵まれ、人気のフィナンシェはSNSで告知すると、すぐに売り切れるほど」。
店名の「アンポン」は「懸け橋」を意味するフランス語。フランスで学んだかおりさんの焼き菓子と、妹の焼き菓子と兄がいれるフェアトレードのコーヒーを通じ、「つなげる懸け橋になりたい」という思いを込める。
前職の星野リゾートでも「地域の魅力を発掘し、お客さまが気になる企画にして届ける」ことを行っていた石丸さんは今後、「地域の人とのコミュニケーションを大切にしてローカルに根付いていきたい。店内にはピクチャーレールや棚もあるので、今後はクリエーターとコラボして展示や販売をするなど、つながりを広げる場にしていきたい」と話す。「妹のお菓子教室など、非日常を感じられる仕掛けやアクティビティーで、日常がちょっと豊かになる活動ができたら」とも。
「地域の方の思いを感じながら、長く続けていきたい。兄妹2人共家族も大事にしたいので、長い目で店と僕らを見守っていただければ」と呼び掛ける。
営業時間は、水曜・木曜・金曜=10時~17時、土曜=11時~18時。日曜・月曜・火曜定休、他不定休。